2021 OHArchitecture

秋葉台の住戸

Project

住戸ということについて

大津市茶臼山公園に面する共同住宅の一室のリノベーションである。

躯体間口が8m以上あり、最近の典型的な共同住宅に比べて間口が広いプロポーションをもった住戸である。また主開口から、近景では茶臼山公園の豊富な緑、遠景では琵琶湖から瀬田川へと収束する水系を中心とした近江盆地が望める環境にある。そして反対側には二箇所のまとまった開口があり、解体して現地を訪れた時、景色に向かって抜けていく心地よい風を感じた。

この外部環境を感じられる住戸の魅力を最大限活かせる計画とする為、住戸内を極力複数の部屋に細切れにしない事とした。

共同住宅、別の呼び方として、住戸が集合して建つという意味あいの集合住宅。そしてその住戸一つ一つは、部屋が集合したただのまとまりでしかないと感じる事がある。「住戸」というよりも、それは「集合部屋」と呼ぶほうが近しいかもしれない。

今回は機能が独立した部屋を家族人数分計画するのではなく、住戸という単位の中で家族がどのように最大限暮らしを豊かにできるのかを考えた。その際、全てにおいて個(1人)の単位の考え方を排除し、純粋にくらしに必要な機能と居場所を設計する方法をとった。部屋という概念を捨て、不要な間仕切りや建具は設けない事で、小さい部屋、1人用の机、シングルベッド、1人分のクローゼット、、、ではなく、広い空間、長い机、大きなベッド、大容量のクローゼット、、、が生まれ、これまで独立した部屋では起こりえなかったくらしの共有が展開される。食べる、寝る、遊ぶ、勉強する、仕事する、料理する、洗濯する、アクティビティが住戸の中で干渉しあい、居場所が流動的に変化する、家族・環境ともに風通しのよいくらしになるだろう。

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2022.10.05

最後のスパイス

もうまもなく竣工を迎える現場では、いよいよ金物や照明器具等の器具関係が取り付けされてゆきます。それはまるで料理をぐっとレベルアップさせる、最後にいれるスパイスのように。
金物の一つ一つ機能を洗い出し、オリジナルで制作してもらい、この家にしかないデザインを考えるのはとても楽しいものです。
さて週末は竣工検査。楽しみ楽しみ。

2022.09.14

背骨となる大きなカウンター

2022.09.07

窓と造作

2022.09.09

現場を知る

2022.09.01

バックヤードに潜む職人の腕

2022.08.16

部屋たらしめない考え方

2022.07.26

解体後、今一度考える

2022.07.22

隠れていた躯体

2022.06.09

マンションと風景