2021 OHArchitecture

朱雀宝蔵町のホテル

Project

体験型アートマーケット

京都市丹波口駅南周辺には卸売市場が建ち並び、さまざまな食材が集まる場所があります。

朝は市場の活気であふれ、今も職住一体の文化が色濃く残っています

計画地の建物はそんな卸売り市場で働く人のための社員寮でした。

クライアントからはこの社員寮をアートを体験できるホテル・レジデンスとすることを求められました。

 

建物は地上5階、地下1階で

1階エントランスホール・ギャラリー・スタジオ

2階ホテル(ドミトリー)

3階レジデンス

4階ホテル(シングルルーム)

5階ホテル(ダブル・トリプルルーム)

B1階倉庫・スタジオ

となります。3階のレジデンスにはアーティストが住まい、地下のスタジオでアートが生み出されます。

生み出されたアートは宿泊の際に選んで客室に設置することが可能で、購入することもできます。

実際に生み出される現場をみて、作品と共に過ごすことができ、3階に住む制作したアーティストとも交流できるというアート体験型の施設です。

 

この建物の設計するにあたって、周辺の卸売り市場との関係は取り込みたいと考えていました。市場には食品が集まるがここには様々なアートが集まってきます。アートを売るアーティストも、ここに住んでいる職住一体といえます。アートと食品と物は違えど同じ文脈のなかで考えれれば面白いと考えました。

卸売り市場をよく見てみるとその構成の面白さに気付きました。大きな空間の中にいくつかの箱がぶら下がっているような構成になっています。箱の下ではそれぞれのお店の商品が並べられ売り買いされています。ぶら下がっている箱は実はお店の事務所という2段構成になっています。

今回の計画も同じような2段構成でできないかと考えました。

比較的天井の高い1階エントランスに箱をいくつかぶら下げて箱の下、上という2段構成を作りました。各箱の下の周囲には建具を取り付け、区切れるようにし、ギャラリー、スタジオ、カフェといった可変的な用途に対応できるようにしています。扉を開ききってしまえば一つの大きなスペースとすることもできます。そしてこの箱は白く塗られアート作品が並べられるギャラリーとなります。

5階の各客室ではアートが置かれる「アートスペース」を設けています。

「アートスペース」は真っ白に塗装された空間で、中に置かれるアートが部屋の中で際立つように考えました。「アートスペース」でじっくりとアートと向き合うのもよいし、ちらりと目の端に映るアートを楽しむこともできます。購入して持ち帰ったら、このアートとどんな日常がまっているのだろう?そんなことを想像しながらアートを体験できる宿泊スペースになればと考えました。

アートが集まり、アートを体験し、アートが各地へと広がっていく、そんなアートのマーケットを目指しました。

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2019.01.28

解体進行中

朱雀宝蔵町のホテルの現場では解体工事が始まっています。

力強いRCの躯体が綺麗に表れています。

今回の計画はこの躯体を仕上げとして最大限生かす予定です。