2021 OHArchitecture

山添村のホテル

Project

奈良県奥大和地方の山添村。
周囲には店舗や観光地、ましてやコンビニなど何もない。
あるのは自然だけのこの地に山添村のホテルは計画されました。

クライアントは奈良の寿司メーカーで、山添村の地で古民家を購入し、新たな宿泊事業の展開を模索していました。

私たちが普段何気なく頂いている「料理」には数多くの人がかかわって成り立っています。
料理を創る料理人 ・調理方法、技術を考えた人・食材を作る生産者 ・料理を盛り付ける食器を作る人・料理を創る道具を作る人 ・料理を共に頂く人 ・窓から見える風景を手入れする人 等々 私たちが気づいてないだけでこれだけ多くの人のおかげて「料理」を楽しむことができています。
山添村には何もなくて不自由ですが、なんでもあります。
少しあるけば食べ物を作る畑があり、ちょっと足を延ばせば焼き物を作る工房もありますし、豊かな風景は目前に広がっています。それらは一つ一つ私たちで訪ねなければなりません。とても不自由です。その不自由さが、自分たちが気づけない日常にあらためて向き合わせてくれます。
私たちが計画したホテルはそんな何気ない日常を再発見できるホテルです。
山添村のホテルは母屋(受付ロビー) + 宿泊棟という構成になっています。
通常ホテルという建物はプライベート性を求めて閉鎖的に作られがちですが、ここではあえて、ホテルの一部を開放することで外部 (山添村の自然環境や風土) を積極的に取り込むことを考えました。
それぞれの建物は減築され、外のような室内でセミパブリックな空間をつくっています。
そこには食材を持ってきてくれた村の方がふらっと立ち寄ったり、心地よい風が流れ込んだり、とてもきれいな朝日が差し込んだりします。滞在者は室内にいながら、とても身近に山添村を感じることができます。
母屋のロビーはアプローチから一続きで計画しています。中央にはカウンターキッチンを配置し、料理人の所作を眺めながら食事を楽しむことができます。
そこから各部屋へ向かうと眼前に山添村の風景が広がります。
日の入りと共に一日の活動を終え、日の出とともに目覚める。そんなプリミティブな環境を体験できるホテルが完成しました。

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2017.10.08

里山にて

里山に新たにホテルをつくるプロジェクトが始まります。

敷地は少し高台で裏には豊かな自然。

正面からは綺麗な朝日、朝もやの掛かった美しい風景がみえます。

 

この自然を最大限に生かしたホテルを考えます。